欧州中央銀行追加緩和決定
北川博文のNY市況
3日NY市場は、欧州中央銀行(ECB)の追加緩和策が金利の引き下げ幅や量的緩和策の内容で市場の期待を下回ったとの見方が広がり投資家の失望を誘い欧州国債の利回りが上昇、またイエレン連邦準備理事会(FRB)議長の議会証言で月内利上げ観測が高まったことから、10年債利回り が1日の上昇幅では2年ぶりの大きさを記録、2年債利 回り も2010年4月以来の高水準をつけた。
為替市場は、欧州中央銀行(ECB)が中銀預金金利を0.10ポイント引き下げてマイナス0.30%にすることを決定したが、より大幅な引き下げを見込んでいた市場参加者のユ ーロ売りポジションの巻き戻しでユーロが主要通貨に対して急上昇した。 ユーロ/ドル は、1日としては2009年3月以来、ほぼ6年半ぶりの大幅上 昇し、この影響によるドル売りが他の主要通貨に対しても波及し、ドルはスイスフランや円 などに対しても大幅に下落した。
株式市場は、欧州中央銀行(ECB)が発表した追加緩和策が期待はずれの内容となる一方、イエレン米連 邦準備理事会(FRB)議長は議会証言で今月の利上げの可能性を示唆したことから、投資家はポジションの修正を余儀なくされ 大幅な下落となった。投資家の不安心理の度合いを示すVIX指数は13.8%上昇し11月17日以来 の高水準となった。ダウ工業株30種平均は、17,477.67ドルの▲252.01ドル安で引けた。
金相場は、欧州中央銀行(ECB)はがユーロ圏のデフレリスクへの警戒感から追加金融緩和を決定したが、市場の期待を下回る内容となったことから、為替市場でユーロを買い戻す動きが活発化しドル建て取引の割安感が急速に強まり、まとまった買いを誘い反発した。
原油相場は、ドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁が追加金融緩和の決定を発表した後、為替市場でユーロ買い・ドル売りが活発化し、ドル建て原油の割安感に加え、石油輸出国機構(OPEC)総会を翌日に控えて、サウジアラビアが原油の減産を提案する見通しだとの情報から、世界的な供給過剰が緩和されるのではないかとの期待が広がり、相場は早い時間帯から買いが優勢となり反発した。
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