原油反落でエネルギー株に売り

 


北川博文のNY市況

9NY債券市場は、市場予想を下回った4月の米雇用統計が引き続き材料視され、6月利上げ観測が後退して国債利回りが低下した。指標となる10年債利回りは、1.76%に低下した。

為替市場は、麻生太郎財務相がこの日、改めて円高けん制発言を行ったことなどから、円を売ってドルを買う動きが加速し、1ドル/108.60円まで売り込まれた。ただ、ニューヨーク市場に入ってからは手掛かり材料が不足し、円売り・ドル買いの勢いは徐々に弱まった。

株式市場は、原油価格の下落を受けエネルギー株や素材株が売られたが、製薬アラガンをはじめヘルスケア関連株に買いが入って相殺され、S&P500種の主要10業種中5業種が上昇した。アラガンは、イスラエルのテバ・ファーマシューティカル・インダストリーズが、405億ドルでのアラガンのジェネリック部門買収を6月にも完了する見通しを示したことが好感され6%の大幅高となった。ダウ工業株30種平均は、17705.91ドルの▲34.72で引けた。

金相場は、週末に発表された4月の米雇用統計が市場予想を下回ったことで米国の利上げ観測が後退し、買い意欲が高まっていたが、引け後にニューヨーク連銀のダドリー総裁が年2回の利上げは依然妥当だと発言したとの報が圧迫材料となっていた。本日は、利益確定やテクニカル的な売りから反落し、加えて為替市場でドル買い・ユーロ売りが優勢となったことも売り要因となった。  

原油相場は、カナダのアルバータ州で発生した森林火災が週末にかけて延焼範囲を拡大し、同州北東部のオイルサンド(油砂)の主産地であるフォートマクマレー周辺では産油施設が相次ぎ操業停止しているが、生産量の大幅な落ち込みは一時的なものにとどまるとの観測が台頭し、利益確定の売りが優勢となった。またサウジアラビアが7日、ヌアイミ石油鉱物資源相の退任を発表し、後任のファリハ保健相は市場シェア確保に主眼を置いた従来の石油政策を踏襲するとみられ、需給不均衡の解消に向けた他国との協調行動が取られにくいとの思惑が広がり、一時43.27ドルの安値を付けた。

 


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