日本当局円高けん制発言も空振り

 


北川博文のNY市況

11日NY債券市場は、中国の3月生産者物価指数が前年同月比4.3%低下し、同国の金融緩和政策が継続されるとの見方が広がり、加えて日本当局による為替介入の可能性を示唆する菅義偉官房長官の発言を受けて株式や原油などのリスク資産を選好する動きが強まった。 この日は主要な米指標の発表もなく、流動性も薄かったことから、相場は前週末の流 れを受け継ぐ格好で序盤に売りが広がったが様子見気分が強く、前営業日比ほぼ変わらずの水準まで押し戻された。

為替市場は、菅義偉官房長官による急激な円高進行をけん制した発言が材料視されて円が売られやすい環境のなか、原油高や欧州株価の上昇を眺めて投資家のリスク選好が進み、一時108円44銭まで軟化した。ただ、米国の早期利上げ観測の後退が引き続きドルの重しとなった上、米株価の上げ幅縮小や長期金利の上昇鈍化がドル売りを促し、昼ごろに円は107円台後半に切り返した。14、15 日にワシントンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議や5月開催の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を控えて、政府・日銀による市場介入は困難との見方も多く、菅官房長官による円高けん制発言は一時的な影響にとどまったとみられる。

株式市場は、 原油相場の上昇を受けて素材関連株や銀行株が買われるなか、企業決算発表期を前に消費関連株への売りが膨らんで上げ幅を削った。投資家はこれから始まる企業決算から手掛かりを探ろうとしていて、アルミのアルコアは通常取引では3.9%上昇したが、取引終了後に発表された同社の四半期決算はアルミ価格低迷などが響いて減益となったため、時間外取引では2%超下落した。セクター別では、S&P総合500種の主要10業種指数のうち上昇したのは素材と金融の業種にとどまった。ダウ工業株30種平均は、17,556.41ドルの▲ 20.55安で引けた。

金相場は、世界経済の先行き不透明感がくすぶるなか、為替市場でユーロに対してドル安が進行し、ドル建て金の割安感から午前中に、一時1260.90ドルまで上昇した。ただその後、ドルが対ユーロで買い戻され始めると徐々に上値が重くなった。  この日は新規材料に乏しく、米国の早期利上げ観測が後退していることも、金利を生まない資産である金にとっては引き続き支援材料となっていた。

原油相場は、カタールの首都ドーハでの主要産油国会合開催が17日に迫り、増産凍結合意への期待感や前週に発表した原油在庫が大幅に減少したことを受けて、需給不均衡が是正されるのではないかとの観測から強含みで推移した。また対ユーロでのドル安による割安感も支援材料となった。


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