原油続落で株安

 


北川博文のNY市況

4日NY債券市場は、米商務省がこの日発表した2月の製造業受注は前月比で1.7%減り、民間設備投資の先行指標、コア資本財の受注は、速報値を大きく上回る減少幅となった。またFRBが公表した3月の労働市場情勢指数は、マイナス2.1ポイ ントとなり2009年6月以来の低水準となった。これらの経済指標を受けて先週のFRBイエレン議長の発言が意識され、国債利回りがやや低下、10年債利回り は一時、 1カ月ぶりの低水準を記録した。

為替市場は、この日発表された低調な経済指標を受けて、イエレンFRB議長が先週の講演で、追加利上げに慎重な「ハト派的」発言を行ったことが次第に意識され、円買い・ドル売りが優勢となり、円相場は1ドル/111円台前半に強含んだ。ただ、米ボストン連銀のローゼングレン総裁がこの日の講演で、年内0~1回の利上げ予想は「過度に悲観的」との見方を示したことから、ドル売りの勢いは抑えられた。

株式市場は、先週のFRBイエレン議長の利上げに慎重に臨む意向の発言が意識されるなか、最近の相場上昇の流れが一服し、コモディティー関連株や工業株が売られた。銅価格が1カ月ぶりの安値を付けた影響でS&Pの素材株は1%下落し、エネルギー株は原油安につれて下がった。ダウ工業株30種平均は、17,737.00 ドルの▲55.75ドル安で引けた。

金相場は、先週末に発表された米雇用統計がまずまず堅調な内容だったことを受けてリスク投資意欲が回復するなか、米ボストン連銀のローゼングレン総裁が講演でタカ派的な発言を行ったことから、米国の早期利上げに対する警戒感が浮上し相場は軟調に推移した。しかし、低調な経済指標が発表されると為替市場でドル売り・ユーロ買いが進行し、ドル建て金の割安感が生じ、下値は限定的だった。

原油相場は、石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の産油国は17日にカタールの首都ドーハで増産凍結合意を目指した会合を開く予定だが、合意形成に関しては懐疑的な見方が広がって売りが優勢となり続落した。この日イランのザンギャネ石油相が市場シェアが制裁解除前の水準に回復するまで増産を続ける方針を表明したとの一部報道やサウジアラビアのムハンマド副皇太子がイランを含めた主要産油国すべてが増産凍結で合意しなければサウジとしても凍結に踏み切らない意向を示しており、市場では実効性のある合意形成には至らないのではないかとの観測が広がっている。

 


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