世界経済鈍化懸念で株安

 


北川博文のNY市況

5NY債券市場は、2月の独製造業受注が予想に反して前月比で減少し、ドイツ10年債利回りが1年ぶりの水準に低下したことや、米商務省が発表した2月の貿易収支統計で財とサービスを合わせた貿易赤字は471億ドルと、半年ぶり高水準となったことから、世界経済の成長が鈍化しているとの懸念が再燃し、比較的安全な国債への需要が強まり米国債が上昇し、10年債利回りは約1カ月ぶりの低水準を付けた。

為替市場は、世界的な株安や原油安などを背景にリスク回避目的の円買いが進むなか、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事がこの日の講演で、世界の成長率予想を下方修正する可能性を示唆したことが投資家心理を悪化させ、加えて安倍晋三首相が米報道機関とのインタビューで、通貨安競争を回避する姿勢を強調するとともに、「恣意的な為替介入は控えるべきだと考えている」と述べたことをきっかけに円高・ドル安が一段と進行、円相場は一時109.92円まで急上昇した。

株式市場は、世界的な成長低迷が深まるとの懸念が広がり、リスク回避姿勢の強まりから米国債が買われて利回りが低下し、銀行株中心に売られS&P500種株価指数は4週間ぶりの大幅安となった。バンク・オブ・アメリカが安く、ヘルスケア株は3営業日ぶりに下落した。ダウ工業株30種平均は17,603.32ドルの▲133.69ドル安となった。

金相場は、世界的な株安を受けてリスク回避姿勢が強まるなか、2月の独製造業受注が前月比1.2%減と半年ぶりの下げ幅となったことから、欧州の景気鈍化懸念が浮上し安全資産とされる金に買いが入った。しかしその後、米サプライ管理協会(ISM)が発表した3月の非製造業景況指数が前月から改善したことで米株価が下げ幅を縮小すると幾分値を戻した。市場の注目は、日本時間の明日未明に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨に集まっている。

原油相場は、前日に安値を付けた反動から安値拾いの買いやポジション調整目的の買いが入るなか、クウェートのフザイア石油輸出国機構(OPEC)理事が17日に開催される主要産油国会合で、イラン抜きでも増産凍結で合意できるとの見通しを示したとの報や、米サプライ管理協会発表の3月の非製造業景況指数が市場予想を上回ったことから強含みで推移した。ただ、米エネルギー情報局(EIA)が発表した1月のガソリン需要が低迷し、エネルギー需要見通しに懸念が広がったことが重しとなった。

 

 


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