米8月雇用統計悪化でもドル高・株高
北川博文の相場独り言
週末のNY時間の市況は、米労働省が発表した8月の雇用統計で、非農業部門の雇用者数が前月比15万1000人増と、市場予想の18万人増に届かなかったことから米国の早期利上げ観測が後退し、発表直後に為替市場でドル売りが加速し、ドル円相場は103円台半ばから一気に102円80銭まで上昇した。ただ、その後は7月の雇用者数が上方修正され、6~8月の雇用者数の月間の伸びが平均で23万2000人となったことが好感されて、9月利上げの可能性を完全に打ち消すほど悪い内容ではないとの見方から、ドルの見直し買いが入り、円相場は104円32銭まで下落した。米債券市場も発表直後は国債が買われて利回りは低下したが、その後はドル高を受けて下げに転じ利回りは上昇した。
日経225先物は、ドル円相場の動きを眺めて発表直後は下振れしたが、その後は上昇に転じて後半は横ばいで推移した。
下のチャートは、ドル円相場の日足と週足になるが、日足チャートはWゴールデンクロスが発生して円安トレンドにあることが分かる。ただ、テクニカルのストキャスは%Dが91%をつけて%SDと交わって下降し始め、MACDヒストグラムもピークにあることからドルの買われ過ぎを示している。
一方の週足は、円高トレンドにあってスリートップラインのミドルラインを超えてきた。トップラインの数値は105円14銭で、そこを抜けるとトレンド転換となる。週足テクニカルは、ストキャスに軽いダイバージェンスが出現し、%Dと%SDが交わって上昇し始め、MACDヒストグラムも上昇にあり、シグナルも捻じれて上昇し始めている。週足は、ローソク足Wボトムでテクニカルが強い円安ドル高を暗示し、トレンド転換も105円オーバーにあることから、ドル円相場は中期上昇トレンドに入ったことはまず間違いないだろう。日足が買われ過ぎを示していることから、21日の米国FOMCまでは軽いノイズ程度の下振れも考えられるが、実りの秋に向かって相場環境は確実に好転した。
ドル円・日足チャート
ドル円・週足チャート
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