今週米末雇用統計待ちの展開

 


北川博文の相場独り言

夜間取引の日経225先物は、為替市場で日米金利差の拡大観測を背景とした円売り・ドル買いが優勢となり、NY時間に入っても102円台前半で推移していたが、今週末の8月雇用統計への警戒感からドルの上値が重くなると102円台を割り込み、相場も16700円を割り込む場面も見られた。ただ、終値は16700円で最大変動幅が120円と狭いレンジでの横ばいとなった。

昨晩は、前週末のイベントが終って材料の出尽し感や雇用統計を見極めたいとの思惑から様子見ムードが強かった。

本日の日中取引の為替は、日米金利差拡大傾向が鮮明になったことでドル買い優勢の動きと見る。テクニカルは、MACDシグナルが捻じれて上昇、スローストキャス・ダイバージェンス出現で円安ドル高に向かっていることは確認できる。直近2か月間で103円を超えていないことから、このラインをブレイクすると勢いがつくと見られる。

 

【NY市況】

29日NY債券市場は、前週末の連邦準備理事会(FRB)の正副議長の発言を受けて、国債利回りが高水準となったことから、債券市場に投資妙味があるとの見方が広がり国債価格が上昇し、指標となる10年債利回りは、1.633%から1.562%へ大きく低下した。

 

為替市場は、前週末にイエレンFRB議長が追加利上げを行う根拠が強まっていると発言し、フィッシャーFRB副議長も9月を含む年内2回の利上げが可能との見方を示し、一方で黒田東彦日銀総裁は、必要に迫られれば追加金融緩和を講じる考えを改めて表明したことから、日米金利差の拡大観測を背景とした円売り・ドル買いが優勢となり、NY時間に入っても102円台前半で推移していた。ただ午後に入ると、週末の8月雇用統計への警戒感からドルの上値が重くなり、円は102円台を割り込んだ。

 

株式市場は、この日発表された個人消費支出(PCE)が良好な伸びとなり、改めて米経済の力強さが示されことを受けて、S&P500種は4営業日ぶり反発し、ダウ工業株30種平均は18502.99ドルの+107.59ドル高と過去最高値付近で引けた。S&P500種は金利に敏感な銘柄が上昇し、銀行や保険が特に上げた。一方、一般消費財・サービスセクターは、S&P業種別10指数で最も小さな伸びとなった。一般消費株は過去7年間の米国株上昇を牽引してきたが、今年はこのままいけば金融危機以降で最も悪いパフォーマンスとなる。

 

金相場は、前週末のFRB正副議長の早期利上げに前向きな発言が金利を生まない金に売り圧力となって安値から始まったが、為替市場で、対ドルでユーロの買い戻しが活発化するとドル建て金の割安感から買われた。

 

原油相場は、サウジアラビアが前月に引き続き8月も記録的な生産水準を維持したことが明らかになり、さらにイラクが輸出を拡大させていることから供給過剰懸念が強まり、また為替市場でドル高が進行しドル建て原油の割高感も加わり反落した。

 


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