裁定取引・買残急減
北川博文の独り言
東京証券市場の裁定取引買い残が大きく減少しています。
先月24日、英国がEU離脱決定の週に1兆円を割り込みましたが、7月1日のデータではさらに1,300億円減少して7,503億円となっています。裁定買残が1兆円を割ったのは、過去10年間で株価が低迷していた2008年11月7日の週から209年5月15日の週の間だけです。その時の株価は、2008年10月に安値6,830円、高値同年11月7,360円となっています。その後の2012年の安倍政権誕生まで4年近くの1万円前後のレンジ相場が続くことになります。その後、日経平均株価が2万円を超えて高値を付けた2015年6月の買残は、3兆8000億円まで膨らみました。
裁定取引は、先物が割高なら現物を買って先物を売り、先物が割安なら先物を買って現物を売り、その差額を抜いていく取引で、主に機関投資家や証券会社が行う取引です。裁定買残とは、先物売り現物買いのポジションを組んでいるときの現物買いの残高のことです。先物取引には期限がありますから、裁定買残は取引が解消されるときに必ず売却されることになります。そのため裁定買い残が増えていくと将来において売り圧力が強まることを意味します。昨今の買い残の減少はその逆で、そろそろ底値に来ていることを暗示しています。これらのことからも、東京市場の株価は調整下げの最終局面に近づきつつあることが分かります。
今週の主な経済指標
7月10日(日曜日)
10:30 中国消費者物価指数
7月11日(月曜日)
時間未定 ユーロ圏財務相会合
7月12日(火曜日)
15:00 独消費者物価指数
18:00 英インフレ報告公聴会
22:35 FRBメンバー・ダドリー氏発言
7月13日(水曜日)
12:06 中国貿易統計
14:00 日本鉱工業生産
18:00 ユーロ圏鉱工業生産
23:30 EIA原油在庫
7月14日(木曜日)
20:00 英金融政策委員会・公定歩合
21:30 米失業保険申請件数
21:30 米生産者物価指数
7月15日(金曜日)
11:00 中国国内総生産(GDP)
11:00 中国鉱工業生産
18:00 ユーロ圏消費者物価指数
18:00 ユーロ圏貿易収支
21:30 米コア消費者物価指数
21:30 米コア小売売上高
22:15 米鉱工業生産
23:00 ミシガン大学消費者信頼感指数
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