黒田総裁インタビューで為替市場混乱

 


北川博文の相場独り言

昨日の日経平均株価は、NY市場の円安の流れから買い優勢で始まり、高値16,938円まで買い進まれた。午後に入ると為替が若干円高に振れて上げ幅を圧縮し、16,810円で引けた。業種別では、食料品・陸運業・サービスが売られ、金融・機械などが買われた。

過去1年間で最も出来高が多かった価格帯に届き、強気、弱気の力関係が拮抗するポイントでもある。

株価の動向を左右するドル円相場の週足チャートトは、レンドライン上限が107.50円近辺にあり本日タッチした。このトレンドラインを上抜いてトレンド転換となるには、111円台を超える必要がある。そのためには強烈な材料が必要になるが、時間的に29日以外にないと考える。

安倍首相の経済対策費用は10兆円規模の見込みだったようだが、今日の報道では20兆円超で調整とある。永久国債の提唱者ベン・バーナンキ前FRB議長のあだ名『ヘリコプター・ベン』からヘリコプターマネーとも言われているが、果たして日銀黒田総裁は異次元の世界に踏み込めるだろうか。

金融政策やファンダメンタルは、チャートに形となって現れるが、今のところドル円チャートは視界が悪い。平均株価も押目を作ると分かり易いのだが、押目のいない相場は期待値が強いことを意味し、万が一の時のその反動が大きい。

26日、27日が米連邦公開市場委員会(FOMC)で発表は日本時間28日午前3時、日銀発表は29日正午ごろになる。FOMCから何かのヒントが出て、チャートに反映されることもあるので注視する必要がある。

 

NY市況

21日NY債券市場は、米株価や原油価格が反落したことからリスクオンの流れが弱まり、国債への需要が増して利回りは低下した。また、オリンピックを来月に控えたブラジルで、開催期間中にテロ攻撃を計画していたとして10人の逮捕者が出たこともリスク回避姿勢を強めた。指標となる10年債利回りは、前日の1.580%から1.556へ低下した。

為替市場は、黒田総裁が英BBCラジオのインタビューで、中央銀行が国債を直接引き受けるヘリコプターマネー政策について「必要性も可能性もない」と発言したことから、欧州時間帯にドル/円相場が一時105円42銭まで急伸した。しかしその後、インタビュー収録が6月半ばだと判明すると円が売り戻され、NY時間帯では午前に106円台半ばまで下落した。ただ、米株価が10日ぶりに反落し、原油価格が下落したことから円買い・ドル売りを促し、午後には105円台後半に上昇した。

株式市場は、朝方発表された経済指標が良好だったにもかかわらず、前日の取引終了後に発表されたインテルの決算などが振るわなかったことで、同社株が4%下げ、サウスウエスト航空が11.2%の下落となったことなどが影響し、ダウ工業株30種平均は、▲77.80ドル安となり10日ぶりに反落した。

金相場は、前日の下げによる買い戻しや安値拾いの買いから強含みで始まったが、この日発表された経済指標が良好だったことから上げ幅を削る場面も見られた。しかしその後は為替市場でドルが対ユーロで売られるとドル建て金の割安感もあり一本調子に上昇した。

原油相場は、前日発表の米エネルギー情報局(EIA)週報で原油在庫は減少したものの、ガソリン在庫が増加していることを嫌気した売りが重しとなって反落した。また、エネルギー情報会社ジェンスケープがWTIの受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの在庫が増加したと報告したとの情報が圧迫材料ともなった。


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