米雇用統計発表で株高
北川博文のNY市況
週末1日NY債券市場は、 米労働省が発表した3月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が21万5000人増と市場予想を上回り、米供給管理協会(ISM)が発表した3月の製造業景気指も堅調だったことから、連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げ観測から短期国債が売られ利回りは上昇した。指標となる10年債利回りは、1カ 月ぶり低水準の1.762%まで下げていたが、雇用統計発表で一時1.814%まで急上昇する場面も見られた。ただ、イエレンFRB議長が利上げに慎重な見方 を示していることが重しとなり前日比変わらずとなった。
為替市場は、この日発表された経済指標が底堅かったものの、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策見通しを大幅に変えるような内容ではなかったとの見方が強く、円はドルに対して強含みで推移し、1ドル/111.60円と1週間半ぶり高値となった。また、ドル指数はほぼ横ばいで推移し約5カ月ぶりの安値近辺で取引された。
株式市場は、米雇用統計や製造業の景気指数が底堅かったことから、今後数週間にわたって発表される第1四半期の企業業績への期待が高まり、S&Pの主要10部門のうち8部門が値上がりした。ただ、主要産油国の増産凍結協議に対する懐疑的な見方が広がり、原油価格が4%近く値下がりするとS&Pエネルギー株指数は1.39%低下した。
金相場は、堅調な3月の米雇用統計発表を受けて為替市場でドルが対ユーロで上昇し、ドル建て金の割高感から売りが先行し、午前中に一時1210.30ドルまで下落した。
原油相場は、サウジアラビアのムハンマド副皇太子が報道取材で、増産方針を堅持するイランも含めたOPEC加盟・非加盟の主要産油国すべてが増産凍結で合意しなければ、サウジは凍結に踏み切らないと表明したことから、主要産油国による増産凍結に向けた協議の行方が不透明になったとの見方で3日ぶりに反落した。また、為替市場で堅調な米雇用統計の発表を受けてドルが対ユーロで上昇したこともドル建て原油の割高感が広がり相場を下押しした。
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