欧州経済鈍化でユーロ安、株安
北川博文のNY市況
9日NY債券市場は、世界経済への懸念が広がり、原油、株式が下落するなか、安全資産とされる債券への需要が高まった。指標となる10年債利回りは、2月以来の低水準をつけた。欧州連合離脱の是非を問う国民投票が迫るなか、英国債利回りは過去最低の水準となり、利回りが欧州や日本などの主要国に比べて高い米国債への投資妙味が増している。
為替市場は、米国の早期利上げ観測が後退してドル売りの流れが続くなか、欧州株安や原油安による投資家のリスク回避姿勢の強まりから円が買われ、一時106円39銭まで上伸した。ただ、午後に入って米株価が下げ幅を縮小するとドルの買い戻しの動きが広がり107円台まで戻した。
株式市場は、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が、長期的な低成長によりユーロ圏の生産性が低下して経済に恒久的な打撃となるリスクが高まっていると指摘し、こうした問題は金融政策だけで解決できないと発言したことから、資金が株式から債券などの安全資産に向かった。また原油価格の反落でエネルギー株が売られたほか、米連邦準備理事会(FRB)早期利上げ観測が後退する中で金融株が値下がりし、S&P金融株指数は0.8%安となった。ダウ工業株30種平均は、17985.19ドルの▲19.86 ドル安で引けた。
金相場は、 欧州時間の為替市場で対ユーロでのドルが上昇したことからドル建て金の割高感からマイナス圏で推移していた。ただ、その後の原油価格の反落や米株価の下落を嫌気したリスク回避姿勢から、安全資産とされる金が買われて上昇に転じた。
原油相場は、為替市場でドル高・ユーロ安が進行し、ドル建て原油の割高感から利益確定の売りに押されて下落に転じた。ただ、ナイジェリアの武装勢力による石油施設襲撃などを背景とした供給懸念から買い支えも見られ、下げ幅は限定的だった。
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