マイナス金利で銀行株に売り圧力

 


北川博文のNY市況

11NY債券市場は、前日、連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が下院金融委員会で行った証言で、金融情勢の引き締まりや中国をめぐる不透明感などが米経済に対するリスクとなる恐れがあるとの認識を示し、必要に応じて金融政策を調整する柔軟性を持ち合わせていると表明したことを受けて、世界経済成長などへの懸念から株式相場が下落、原油市場も12年ぶり安値となり、欧州の銀行株も数年ぶり安値を 更新するなか、安全とされる資産に需要が集まって米国債10年債利回りは、20129月以来の低水準をつけた。

為替市場は、世界経済減速懸念や銀行セクターの健全性に対する不安を背景に米株安や米債券利回りが低下し、また日銀の金融政策効果に対する懐疑的な見方も台頭して安全資産とされる円買いの動きが活発化し、ドル/円は一時、約13カ月ぶり安値となる110.98円を付けた。ただ、その後は持ち直して、終盤は112円台で取引されている。

株式市場は、欧州や日本の中央銀行が導入したマイナス金利政策が金融セクターにとってマイナス材料との懸念が投資家の間で広がり、世界的な成長鈍化で金利に低下圧力が掛かり続けるとの警戒感から銀行株が売り込まれ、また世界経済減速懸念から原油価格が下落したことを受けて、S&P500種は活発な取引のなか、2年ぶりの安値を付ける場面があった。ただアラブ首長国連邦のエネルギー相がOPEC加盟国に減産協力の用意があるとの認識を示したと伝わるとエネルギー株に買い戻しが入り、全般に引けにかけて下げ幅を縮めた。ダウ工業株30種平均は、15,660.18ドルの▲254.56ドル安で引けた。

金相場は、イエレンFRB議長の議会証言を受けて原油価格や欧米の株価が下落しリスク回避姿勢の強まりからまとまった買いが入り、また追加利上げ時期が後ずれするとの見方も広がり、金利を生まない資産である金価格を押し上げた。

原油相場は、前日イエレンFRB議長が議会証言で国内外の景気減速や金融市場の動向に懸念を示したことから、世界経済の先行きに警戒感が広がって売り圧力が強まった。また石油輸出国機構(OPEC)が前日に発表した2月月報で石油市場の供給過剰状態が確認されたほか、米国内の原油在庫が記録的な水準にあることも相場を押し下げる要因となった。

 


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